復刻版 BANANA FISH 読了後の感想
※ネタバレ注意※
アニメ化がニュースになりTwitterがざわつき、そんなに凄い作品なのか⁉︎と思いミーハー魂で復刻版を購入。
結局続きが気になって仕方なく、1週間程で全巻読みきりました。
なんで影響力。
BANANA FISH 復刻版BOX vol.4 (vol.4) (特品 (vol.4))
- 作者: 吉田秋生
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2018/06/08
- メディア: コミック
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完走後、いてもたってもいられずとうとうブログ作っちゃったよ 。
という衝動的な行動なのでめちゃくちゃネタバレしますからね。自己責任でお願いします。
当時はこんなバイオレンスで重く目を背けたくなるような作品が少女漫画として連載されていたのか…。
平和ボケした自分には鈍器で後ろから殴られるような衝撃を受けましたが、読了後は、心と心の触れ合い、感情のぶつかりあいが眩しく醜く美しい物語だったなぁと総括します。
大人ではない、子どもだけど子どもでもない10代後半とは何と脆く危ういのか。
出てくる大人がクソ野朗だけじゃなかったのは救いです。純粋に、危うい子供たちを放っておけない人情味溢れる人達が居て良かった。
追い求めた真実を逃すよりも子どもたちの思いを尊重した。大人になって読んだ自分は、どうしてもマックス、伊部さん目線で読んで伊部さんが泣くところで泣きました。
正直アッシュの境遇や運命を思うと「可哀想」としか言えない。その苦しみは当事者でなければ理解できない。辛い体験に震えるアッシュを、英二は何も言わず抱きしめたシーンがありました。
あぁ、だから英二だったんだ、と思いました。
同情とかではなくて、この英二の無償の愛、です。(アニメの絵柄のアッシュはYOIのユリオに似ているのでアガペーじゃん!という突っ込みはさておき)
“まず疑え”というスタンスで日々背後を気にしながら生きているアッシュですが、
こんなに真っ直ぐな感情を向けられた事は無かったわけですね。
それが皮肉にも後に命取りとなるのですが、
愛を知らない一生よりも愛に触れらる一生です。それは何ものにも変えられません。
アッシュが「幸福なんだ」と言うシーンは涙無くしては読めません。彼の口から幸せだと聞けて、本当に嬉しい。嬉しいのに悲しい。何故全てのものは彼の人生をこんなにも阻むのでしょう。辛すぎる。やるせない。
その為アッシュは復讐のチャンスをも捨てる覚悟をするようになります。
客観的に無感情に見れば、英二は足枷でしかないのですが、英二の存在はアッシュにとって唯一の心の癒しになっていきます。命の危険があるからこそ側に置いた。ゆるい監禁ですよあれは、、、笑
でも、あのアッシュと対等に臆せず接することができるし、スキッパーみたいで憎めない(仲間の誰がが言ってたような)英二を皆も仲間として自然に認めますよね。そこも良かったなと。変に拒否反応とかない。子どもだからある程度一緒に過ごせば基本的に信頼できる“同士”なんだ。また、アッシュが国籍関係なくうまくまとめている環境なので、これもその要因かもですが。
ラストで出国する英二のお見送りに来る彼らは本当に純粋で可愛い子どもたちでした。
銃なんか持たないでほしいな。
ゴルツィネのラストは渋かった。嫌いだけど憎めないです私は。死ぬ間際に取る行動って完全に本音ですよね。
本編のラストですが、最初は受け入れられなかった。
その人の生きるフィールドで死なない最期はあまり好みではないんです。(オルフェンズ然り、通りすがりに殺されたり…等の呆気ない展開)
ただ、似合うなんて言いたくないですが、予想できた最期ですね。
急所を外したアイツ。
あれ…片付いてないぞそういや1件…ァァァァアお前か…ふざけんなよ…ってなりましたが。
リーダーになりたくないなんて、いつも思ってる的な事言ってましたしね。矢面に立たされる者は散々恨みを買うんですよね。
ただ、英二の手紙を、想いを受け取る事が出来て本当に良かった。今となっては。魂で繋がってるんだから。安心して眠ってね。よく頑張ったよね。(AIRみたいになっちゃいましたが)
私はアッシュが悪魔でも神でもなくひとりの人間くさい人間として生きられたことが本当に嬉しいし救いです。
なのでもう何も言うまい。読んでください。この感情は完走しなきゃ味わえない。
復刻版で買ったので、入っている通りの順に読みました。
◆◆後日譚「光の庭」
そりゃ引きずるよね…。伊部さんしか帰って来なかったって、そのまま向こうに住んだということでしょうか。後に永住権を得た?(詳しくなくてすみません)
7年経った後もアッシュの幻影を追ってしまう英二を見ていてやるせない気持ちになる。
シンは登場シーンから良い奴って思ってたから、いまの英二のメンタル支えてくれて本当にありがとう。兄のしたことを忘れず罪を背負い現実に立ち向かえるのは強い者ができることです。アッシュには歯が立たないって潔く認めた彼も、だいぶ立ちますよ。言い回しも似てきちゃって、ね。
英二は解放される事は永遠にないんでしょうね。折り合いをつける事は難しい。
人生や歴史にタラレバはないと分かりつつもあの時こうしていれば…と思う事は山程あります。ましてや英二にとってはそれが最期の別れだったから尚更悔やんでも悔やみきれない。
こんなにも美しい作品には久しぶりに出会いました。初かも?
少なくとも重症の面倒臭がり屋の自分が、こんなに長文の感想を書きたいと思ったのは10年ぶりぐらいの事なのです。文学部卒なのに。
母から動物モノと子どもの話は絶対辛いから見ない方がいいとあれほど言われたのにな。
見事にハマっちゃいました。
こりゃ軽率にBLとか言えないわけですね。
そんなんじゃないんです。肉親以外に、生涯忘れる事が出来ない大切な人に出会った事はありますか。
◆◆写真集
英二の写真集風の冊子が19巻と20巻の間に挟まってました。19巻の余韻を引きずりつつページをめくると涙止まらんがな。
まず表紙の猫ちゃんで心臓抉られます。
何が山猫だよめっちゃ人懐っこい目の飼い猫みたいじゃないか…ハッ…アッシュ…!(涙)
吉田先生の写真がいいです、とても。
大半がカラーじゃないのも良い。モノクロ写真は、全ては過ぎ去った過去だと気づかせてくれる気がしました。
センスがすごいですが。絵を描く方は写真も上手なのか…切り取り方がとても素晴らしいです。さながら自分もそこで生きた少年のような目線で見れるんですから。
後半の写真は、心が少し穏やかになれます。
「幸福」のかたちは人それぞれ。
◆◆19巻の番外編:ショーター
20巻の番外編:ブランカ
この流れで書くの変ですが、まとめて。
ショーターとブランカ、別々の人から見た1人の人物は語り手の考え方や関係性によってこうも違うんだなぁと。手法ですね。
も~~本編終わった後にこういうの持ってくるんだから、読み返したくなりますよね!辛いとわかってても!(笑)
◆Fly boy,in the sky
伊部さんと英二の出会いも運命だったんでしょうね。読者目線で言うと2人には感謝してもしきれないけど、それぞれ人生の岐路に立たされていた訳で。
運命の糸が複雑に絡み合い、アッシュと英二は出会えたんですね。
わ~~一気に読み切った衝動でいてもたってもいられず書いたにしても、長い!
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
同じこと何度も書いてるかもしれませんが推敲しません。日記だからさ。(終わります)